命にかかわる薬物依存症


薬物依存症とは

薬物依存症というのは、大麻や覚醒剤などといった違法の薬物、あるいは市販されている薬品などに依存してしまい、その薬物の刺激がないと精神的・身体的に不快な症状を訴えるようになる状態のことをいいます。
薬物は脳の中枢神経に作用して脳が快楽を得るように働くので、自分でやめようと思ってもなかなかやめられなくなってしまいます。

依存症に至るまでの過程は人それぞれですが、心と脳の病気ということができます。
心が受けた傷(トラウマ)を回復することによって薬物依存症から抜け出すことは可能ですが、本人の力だけではなかなか抜け出せないというのが実情です。

依存症になる薬物について

依存症を引き起こす薬物は、大きく分けると「覚せい剤」「大麻」「MDMA」の3つの種類があります。
覚せい剤は摂取すると気分が高揚し精神を興奮させるので、一時的に集中力が増したり疲労が取れたような感じがします。
不安感や幻覚妄想などの症状が出やすく、薬を摂取していないときでもフラッシュバックなどが起こることがあります。

大麻はタバコのように紙に巻いて摂取することが多く、不安感を和らげる効果があります。
大麻は日本では麻薬に分類されており、処罰の対象となります。
大麻を摂取し始め、その後徐々に覚せい剤に移行するケースも多く見かけられます。

もうひとつのMDMAは俗にエクスタシーとも呼ばれており、興奮状態が得られます。
錠剤のため服用しやすいのですが、長期間の使用によって精神錯乱を起こすこともありますし、肝臓や心臓にも悪影響を及ぼします。

依存症の症状と治療について

薬物依存の状態が続くと、食事や睡眠に注意を払わなくなり、痩せていくことがあります。
また言動が暴力的になったり、命に関わるようなダメージを体に受けることもあり得ます。
社会的にもどんどん孤立していき、職場などで信用を失うことも考えられますし、家族と不和になり離婚といったケースに至ることも珍しくありません。

依存症の治療は長期間かかることが多く、その間、家族の支援は不可欠です。
入院して治療を行う「脱慣期」を経ても、退院した後にまた薬物に手を出す人も多く、完治するには忍耐心が必要になります。

薬物依存症は病気ですので、できるだけ早く薬物依存症専門のクリニックなどで治療を受けることが大切です。
クリニック以外にも精神保健福祉センターや保健所などがおこなっている薬物依存症回復支援プログラムへ参加する、民間の依存症回復支援施設を利用することによって早い回復が期待できます。
また、「自助グループ」と呼ばれる依存症当事者ミーティングへ参加することによって心身ともに回復の道を探ることも大切でしょう。